ようやく東京も夏らしい天気になってきました。
8月に入ると各イベントが盛り上がってきますが、個人や小規模展開のクリエイターが活躍するイベントもたくさん開催されます。
直近では布博、クリエーターズマーケット、真夏のデザインフェスタなどなど。
ベビーロック・プリンティングのお客様にも、雑貨やドール製作、アパレルなど、イベントに参加されるようなクリエイターさんがたくさんいらっしゃいます。
ですので今回は、そんなクリエイターさんたちにも無関係とは言えない、布プリントを活用して注目を集めるあるデザイナーをご紹介します。
アイルランドの新生、ホープ・マコーレーは、テキスタイルプリントを駆使する奇才
ファッション好きにとって、大手メゾンが毎シーズン発表する新しいコレクションは、いまだに大きな関心毎の一つです。
同時に、次の新しい才能を見出すのもまた一興。まだ話題にしている人が少ないブランドやデザイナーを、「次はここがくる!」と目をつけて予想通りブレイクしたときの快感は得難いものです。
アイルランド出身のホープ・マコーレーがそのような存在になるかは筆者にわかりませんが、2018年9月のロンドンファッションウィーク2019SSのデビューコレクションで注目を集めた彼女は、インクジェットプリントを駆使したコレクションで観客を魅了します。
https://www.instagram.com/p/BteWoxXHw-a/
ホープを特徴づける3つの要素
ロンドンファッションウィークで、英国版ヴォーグ誌の選ぶ「ベストストリートスタイル」に選ばれた彼女のコレクションは、配色のセンスが際立ったものでした。
ポップで親しみやすく、ランウェイの持つクールな華やかさからいい意味で逸脱したカラーリングは、3つの特徴的なディティールによって表現されました。
一つ目は、否が応にも目を引く、超ローゲージのビッグメランジニット。
構成する毛糸は糸というよりもはや綱。これを染色して編むだけでかなり手間がかかっているでしょう。
https://www.instagram.com/p/ByzkEphnqxU/
二つ目は、ハンドメイド感を強調するビーズ刺繍のブローチやチャーム。
手の込んだ工作のようなアイテムが、従来のランウェイのイメージを鮮やかに裏切ります。
https://www.instagram.com/p/ByQs3dhnGuU/
そして三つめが、彼女の類まれなセンスを物語るテキスタイルプリント。
ホープのコレクションのポップな世界観を決定づけているのはニットではあるものの、プリントのアイテムは、それだけで別のコレクションを構成できる出来映えです。
服作り。と言うと普通の人には敷居が高いように思えますが、上記の3要素はどれも、趣味の範疇でやったことのある人も多い創作活動です。
テキスタイルプリントはデザインソフトで布用インクジェットプリンターで作っているんじゃないの?と思う方もいらっしゃると思いますが、彼女は、デジタルプリントなどに関するメディアTEXINTERのインタビューで、「8歳の頃のノートの落書きや学校でのアートワークも、今のスタイルと通じています」と語ります。
つまりテキスタイルの柄をデザインすること自体は、趣味で絵を描くことの延長線上にあるということです。
実際彼女のインスタアカウントには、ノートに走り書きした着想の源になった原画などがアップロードされています。
ファッションウィークに出るほどのブランドがオンラインのテキスタイルプリントサービスを利用している
ホープに関して弊社が特に注目したのは、インタビューで語った次の部分。
テキスタイルはどのように作っているのか聞かれた際に、「オンラインのファブリックプリントサービスを使ってテキスタイルを印刷しています。自分のデザインをアップロードするとすぐにプリントされる点が素晴らしいです」と答えたところです。
つまりこれは、ベビーロック・プリンティングのような布のプリントを請け負うサービスへ注文していることを意味していると解釈できます。
大学を卒業したてとはいえ、世界的メゾンと同じ土俵で戦うブランドが、一般消費者と同じようなサービスを使っているというのは驚きです。
従来のアパレルにおける生地のプリントは、一定の(相当量の)ロットを確保し、なおかつ一般の方では連絡がつかないような工場に依頼しなければ実現できなかったはず。
しかし、現代においてはデジタルインクジェットプリンターといったテクノロジーや、それと人をつなぐネット環境が充実しているため、全くコネや実績のない一般の方が、世界のトップレベルで勝負するプロと同じ技術を利用することができるのです。
こうしたパラダイムシフトの恩恵を受けて、アパレルや雑貨などのモノづくりに限らず、自身の表現を世の中に発信する人がとても増えています。
すでに国内の主要コレクション参加ブランドや、有名舞台作品の衣装などでもご利用いただいたことのあるベビーロック・プリンティングですが、ホープ・マコーレーの事例を知って、改めてアパレルのテキスタイルを作るクリエイターの方々もサポートしていけたらと感じた次第です。
もちろん、趣味の範囲で楽しむ方やその延長上の活動をされている方へも、これまでのように惜しみなくご協力いたします。
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