ベビーロックプリンティングの布プリント用語集(染料プリント)
布のプリントサービスを提供するベビーロックプリンティングが、オリジナル布や生地をプリントする際に知っていると役に立つかもしれない用語集を作りました。
染料プリントとは
染料プリントとは、ある色や柄に染めたい布の、繊維の奥までインクで染色してプリントする方法です。
家庭やオフィスの紙のプリンターとほとんど同じ原理で、布用インクジェットプリンターに布を設置し、インクを吹き付けるようにして染めていきます。
古来から布を染める技術は世界各地にみられ、かつては藍やベニバナといった植物の葉や茎などから染料を抽出していましたが、現代では染料はほとんど合成染料インクになっています。
藍染に代表される天然染料での染色は、今では手間とコストがかかる上に品質にもばらつきがあるため、希少性や温かみを楽しむ、一種の嗜好品として、一部のショップやブランドで天然染料の製品が販売されています。
染料プリントの特徴
特徴はなんといっても、生地の風合いを損なわずにプリントしたい柄を布上で再現できる点ではないでしょうか。
例えば、タオルの全面を染めたい場合、染めた後にタオルの風合いが変わってしまっては元も子もないですよね。
色がついていても、元々のタオルの起毛が維持され、ある程度の吸水力が保たれていないと、タオルの意味がありません。
サッカーやバスケットなどのユニフォームの背番号でよく用いられるようなラバープリントなどでは、テロテロと水を弾いてしまい、タオルとして使用できなくなってしまいます。
その点染料プリントでタオルを染めてあげれば風合いを保つことができ、タオルとしての機能が失われることはありません。
デメリット
多くの素材に対応し、生地の風合いを保つ染料プリントですが、もちろんデメリットも存在します。
それは、染料インクの種類によって対応する素材が異なる点(後述)。それから、”蒸し”と”洗い”という工程を経るため、仕上がりに少々時間がかかるという点です。
染めたい布の素材にあったインクじゃないと染まりませんが、だからこそ、素材の風合いを生かしたまま精密な柄も布プリントで再現できるともいえます。
一口に染料プリントと言っても種類があります
デメリットの項目で述べた、インクの種類ですが、以下の3種類があります。
対応素材と染料についての知識も併記します。専門的な用語も使うので、少し難しいです。
・反応染料:(対応素材:綿・レーヨン、シルク、一部天然繊維、一部ポリエステル)……染料と繊維の分子同士の化学反応を利用して着色する染料を、反応染料と呼びます。化学反応によって共有結合と呼ばれる分子の結合が起こるため、染料の繊維への固着度合いが非常に強く、湿潤堅牢度、耐擦過堅牢度、耐光堅牢度に優れます。特に湿潤堅牢度、つまり洗濯などによる水通しに対する堅牢度が強いため、反応染料でプリントされた布は製品化に向いています。百貨店や厳格な基準を持つ一部小売店が設ける堅牢度基準を満たせることが多いです。
・分散染料:(対応素材:ポリエステル)……ポリエステルは、繊維の分子構造が緻密なため、その中に染料を入れて染めるのは困難です。そのため、高温で蒸すことで繊維の分子同士のすき間を広げ、分散染料で染めることで色が馴染みます。続いて生地に洗いをかけ、馴染み切っていない余分な染料を落とすことで、プリント生地になった時の染色堅牢度を高めます。
・酸性染料:(対応素材:天然繊維、ナイロン)……酸性染料は、素材の持つタンパク質とイオン結合することで繊維を染めます。タンパク質でできた絹や羊毛といった天然繊維が染まるのはもちろんですが、化学繊維であるナイロンはタンパク質繊維を真似て作ったもので、構造はタンパク質と同じなため、酸性染料で染まります。
インクジェットによる染料プリントは、前後処理が必要です
染料プリントでは、プリントの鮮明さと染色の堅牢度を高めるため、染める生地に対して前後で処理を施す必要があります。
・前処理:インクで布生地を染めようとすると、細かくインクを吹き付けても、どうしても滲みが表れてしまいます。普通の布に、太いマジックペンで線を書くとかなり滲みますよね? 滲みを避けるために、染料プリントする前に滲みを防ぐ溶剤で布を加工します。
・後処理:布の繊維に固着しきらなかった染料の分子は、プリント後に布の付着したまま残ってしまいますので、洗いをかけて残った染料を落とします。固着していない染料を残ったままにさせておくと、洗濯時や擦れた際に他の衣服などに色移りしてしまったり、プリントした布自体を再汚染してしまう恐れがあります。後処理で洗いをかけることは、プリントした布の品質を保つ上でも重要な工程になります。
以上、染料プリントについて解説しました。
布のプリント関する用語を日々増やしていきますので、気になる用語があったら読んでみてください。
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